初めてペットを飼った方へ

共に健やかに暮らしていただくために

ワンちゃん、ネコちゃんなどの動物たちは言葉で語ることはできないけれど、感じていること、考えていることは飼い主と同じです。
つまり、大切な家族が幸せに暮らし、心身ともに苦しみを感じずに長生きすること。
そして今、そのための治療法は、一から百まであるといってよいでしょう。
そこで当院では、正確な診断を行い、飼い主さまと動物たちが望まれる治療を施すことを心がけ、ともに健やかに暮らしていくお手伝いをいたします。
その主なポイントは、以下の4つです。

ポイント1. 
ペットたちにもホームドクターを!

人間にかかりつけのお医者さんがいると安心なように、ペットたちの場合もホームドクターに常日頃から健康管理を任せていると、いざ病気になったときの治療や病気になる手前の不調などの対処に役立ちます。
また、多くの飼い主さまが頭を抱える問題行動やペットたちが快適に暮らすために必要なしつけについても、獣医の的確なアドバイスで改善の道が開ける場合もあります
病気の治療については、ご家族の全面的な支えが必要です
病院との信頼関係の上に完璧な治療は成り立つと考えます
ですから、些細なことでも気になることはなんでも聞いてください

当院では「インフォームド・コンセント」を重視しています。
つまり、診断や治療法などを詳しく、わかりやすくご説明し、飼い主さまに十分にご理解、納得していただいたうえで、その先に進む、という方法をとります。大事なペットの治療に、飼い主さまと私たちの信頼関係は欠かせません。
そのためにも、いろいろとお話ししましょう。

大切なペットの心身の健康のことなら、なんでもご相談ください。
おうちに迎える前からご相談にのります。お気軽にお電話ください
ホームドクターならではのきめ細やかな対応ができるほか、必要な場合は専門医をご紹介いたします。

ポイント2. 
ペットをチェック! 早期発見、早期治療

いまや動物たちの医療でも高度化が進んでいます。
たとえば、がんや腫瘍が疑われれば人間と同じようにCTなどで検査。神経の異常が疑われればMRIや脳波検査。はっきりがんだと診断されれば抗がん剤治療、幹細胞を用いた再生医療というように、治療の選択肢はますます広がってきました。
とはいえ、病気の発見が遅ければ、もう手の施しようがないことも、また人間と同じです。早期発見によって限られた寿命を伸ばすことができます。苦痛を減らすことができます。
動物たちの場合でも「早期発見、早期治療」が何よりも大切であることを、飼い主さまにもよくご理解いただきたいと思います。

ペットの早期発見、早期治療のためには、日頃から、飼っているワンちゃん、ネコちゃんをよく観察、チェックすることが第1歩です。そして、年に1度〜2度の健康チェックを病院で受けることが第2歩目です。
病院では、問診、身体検査、血液検査、画像診断などを使用して病気の早期発見に努めます。

ポイント3. 
ふだんからのケアが大事! 予防医学

当院では、フィラリア予防やワクチン接種時など元気な時にも、問診や身体検査を行い、普段の様子や動物の性格などを把握します。
そして、必要に応じて健康診断としての検査をお勧めしています。
特に、10歳以上のペットには毎年の血液検査・レントゲン検査をお勧めしています。
そして、判明した慢性疾患についてはその予後を説明し、治療を始めて行きます。
猫ちゃんは、犬と違い外へ出る機会が少ないため、病院にいらっしゃることが少なくなりがちです。飼い主が良いと思っていることが、一つの症状であったり(例えば昔より元気になった、水をよく飲むようになったなど)することもあります。
こうして、慢性疾患は早期治療により健康寿命が伸び、老衰により安らかに旅立つペットたちも増えてきました。

さらに、ペットの世界でも高齢化が進み、メタボなペットたちが増えるとともに、肥満や加齢に由来する病気も増えています。
もともと野生の部分を持っている動物たちだからこそ、人間と暮らすことで、必要以上に病気になる可能性を増やさないよう、飼い主さまが配慮、予防することが大切です

ポイント4. 
お口の健康は長寿の秘訣

ペットと接するとき一番はじめに見るのは、そのお顔そして表情ですね。
ワンちゃんは、大好きな飼い主さんをペロペロ舐めることもあります。飼い主さんの近くでワンワン吠えることもあります。何よりも動物に癒されるのは、パクパクとごはんを食べている姿ではないでしょうか?
今、日本の約1歳齢の小型犬の約9割は歯周病であると言われています。
歯周病が進行するとお口の中に細菌が増殖し、そこに炎症反応が起こり、痛みを生ずるようになります。あるいは、顎の骨が溶けて歯が抜け落ちてしまいます。
細菌がずっと接触している口腔内には口内炎が起きたりします。

痛みというのは、人間も同様ですが、常に不愉快な気分になります。それがストレスとなり、また、口腔内の細菌が腎臓や心臓など諸臓器に血行感染を起こしたり、あるいは他の病気になったときに、免疫力が低下して、口腔内環境がさらに悪化して、命取りになることがあります。
お口の病気は、常日頃のデンタルケアで予防していくことができます。

災害時の準備

災害でペットを守ることができるのは飼い主様だけです。
自分が無事でないとペットは守れません。
1.まず飼い主さま自らの安全を確保しましょう。
2.日頃から健康面やしつけ(ケージ、他の人や動物に慣れさせておく)を含めたペットの適正な飼養をしましょう。
3.災害時はペットを落ち着かせるとともに、逸走やケガに注意してペットとともに避難しましょう。

災害時に慌てないために

日頃からできること

飼い主明示:マイクロチップ、首輪
健康管理:予防接種、健康診断(飼育手帳などに記載)
しつけ:人間を噛みつかせない、おすわり、まて、トイレ、ケージレスト
備蓄:フード、水、薬5日分以上、ペット用品(シーツ、新聞紙、ビニール袋)

参考

災害時、あなたとペットは大丈夫??
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3009a/a-1a.pdf

若齢期・成年期にかかりやすい疾患

眼の疾患

角膜損傷・角膜炎

犬や猫は眼が大きく前方に出ているため、眼を傷つけやすいです。
角膜といって一番表面の透明な膜が傷つくと、その痛みから目が開きづらくなり、涙や目脂が多く出ます。
ゴミが入っているような痛みがあるため、動物が自分で擦ってしまうとさらに悪化することもあります。ドライヤーの風などでも簡単に傷つきます。

結膜炎

猫に見られる場合、感染性のウイルスやクラミジアによる可能性があります。結膜が充血してドロッとした目やにが出ます。赤ちゃんの頃に感染して重症化すると、結膜同士または結膜と角膜がくっついて、目の見た目が変になります。

泌尿器の疾患

尿路結石・膀胱炎

おしっこの中に結晶や結石などができて、排尿しづらくなったり頻尿感があったりします。血尿を見ることもあります。尿が赤くなくても結晶成分が出ていることもありますので、健康診断の一つとして、尿検査をしておくと早期発見に繋がります。尿石症は食事療法がメインとなります。

消化器の疾患

誤食

若い頃に多いです。夜間救急のベスト3に入ります。
おもちゃや紐、ゴム製品などは間違って飲み込んでしまうと腸閉塞を起こす可能性が高いので、気付いたらなるべく早く動物病院に相談しましょう。自宅で吐かせることは危険を伴うこともあるため厳禁です。
お薬や中毒性のある食べ物、植物も同様、摂取してすぐなら吐かせることが最善です。時間が経過してしまった場合、臓器障害が出ることがありますので、必ず動物病院に相談しましょう。
中毒物質:ネギ、タマネギを含んだもの、レーズン、ユリ、ホウ酸団子など。

嘔吐・下痢

年齢を問わず発症します。原因は本当に様々です。ストレスや普段と違う食べ物の摂取でも起きる場合があります。膵炎や子宮蓄膿症などの病気でも嘔吐・下痢を呈します。半日程度様子を見て、嘔吐や下痢が続く、食欲がない場合には早めに受診しましょう。
受診の際には、便(ラップやビニールで包んだもの)を持参すると診断の助けとなります。

皮膚の疾患

膿皮症

皮膚にブツブツやかさぶた、ニキビのような湿疹ができて、痒みがあります。最初一つだったものが徐々に広がり大きなハゲを作ることもあります。膿皮症は皮膚の常在菌である主にブドウ球菌が増殖して皮膚炎を起こしますので、消毒作用のあるシャンプー剤や抗生剤で治療します

アトピーアレルギー性皮膚炎

犬や猫の花粉症は、人の眼・鼻症状はあまりなく、痒みや紅斑などの皮膚症状が出ます。
その他アレルギー物質には、ハウスダストダニや食べ物、ノミやゴキブリなどの昆虫類、カビ、スギなどの花粉など様々なものがあります。
疑わしい場合には、アレルギー特異的IgE検査などの血液検査を行い調べます。

外耳炎

耳垢が多く出て、痒みのために頭をこすりつけたりや耳をよく振る、耳が臭いなどの症状が現れます。
よく人間用の綿棒でお掃除しているのに・・・ということを伺いますが、犬の耳道の皮膚は非常に薄いため、人間用綿棒でゴシゴシきれいにしようとすると、それが耳の中を傷つけてしまい、外耳炎の原因となることもあります。また、犬の耳道は途中で曲がっているため、入り口だけきれいにしても無意味なのです。
正しい耳そうじをすることが肝要です。

皮膚腫瘍

歳を取ると良性のイボが多くできることがありますが、若い時にはあまり皮膚腫瘍は発生しません。
見つけた場合には、それが腫瘍なのか炎症なのか、取るべきものなのか放っておいて良いものなのかの判断が必要です。針生検といって、注射針で細胞を採取し、調べます。
スキンシップを兼ねて普段から体をよく触りましょう。

整形外科疾患

膝蓋骨脱臼

ジャンプしたり、はしゃいだ時に急にキャンと言って、後ろ足を挙げているなどの場合は、膝のお皿が外れてしまうことが考えられます。骨格が華奢な小型犬に多く見られます。外れても、元の位置に戻り、痛みがなくなると普通に足を使うようになりますが、外れることを繰り返しているうちに、関節の溝が浅くなり、外れっぱなしになることもしばしばです。その状態が進行すると、足の形の変形や靭帯の断裂により、走る・ジャンプなどの運動ができなくなる場合もありますので、経過によっては早い段階での整形手術が推奨されます。

椎間板ヘルニア

若いダックスやコーギー、フレンチ・ブルドッグなどの犬種では、突然に後ろ足や四肢が麻痺して、引きずる、立てない、排便排尿ができないなどの症状が現れます。なるべく早い段階での手術が必要です。
また、そのほかの犬種でも、腰痛や頸部痛を生じることがあり、抱っこするとキャンという、段差を登れないなどの症状が出た場合には、絶対安静にして(できればケージレスト)、早めに受診しましょう。

その他

発作

犬はよく震えます。寒い時や怖い時、痛いときなども震えます。
発作というのは、全般性と部分があり、全般性発作の場合には、横たわり全身が震えるように痙攣を起こし、意識が消失します。大概は激しい痙攣が1〜2分程度で徐々に収まってきますが、治らない場合、5分以上続く場合、立て続けに発作を起こす場合には大至急受診してください。治った場合でも、動物病院に相談しましょう。部分発作というのは、体の一部分がピクピクと意識とは無関係に痙攣することを言います。軽い兆候ですが、全般性痙攣につながることもありますので、要注意です。