シニアケア・よくある病気

犬猫の高齢化とシニアケアの重要性

ワンちゃんの平均寿命は14歳、猫ちゃんの平均寿命は14.2歳(2019年アニコム白書より)と言われています。
その半分の、約6~7歳ごろから、行動が落ち着いてきたり、動きが若い時より鈍くなったり、寝る時間が長くなったりしてきます。
老化が始まる時期と平均寿命を考えると、シニアケアの重要性が浮かび上がります。

健康チェックをしてみましょう

  • 元気や食欲はありますか?
  • 食事の量が変わらないのに痩せたり、太ったりしていませんか?
  • おしっこの色や量はどうですか?
  • お散歩は普段通り歩きますか?
  • ウンチの色やかたさはどうですか?
  • 段差や高いところを躊躇せずに登れますか?
  • 排便や排尿に時間がかかったりしていませんか?

当てはまる項目は何個くらいありましたでしょうか?
その兆候、歳のせいにしていませんか?
歳のせいでなってしまうこともありますが、歳とともに病気も増えてきます。
それが知らず知らずのうちに進んで、症状が出た時には手遅れであることもあります。
生きている間、大事な家族に少しでも、病気の痛みや苦しさから解放されていて欲しいものです。
疾患の早期発見・早期治療は、人もペットも元気に過ごせる時間を格段に長くします。だから健康診断は大事なのです。若い頃から、予防や健診、食べ物に気を使い、運動や遊びをたくさんすることで、元気に長生きする事ができるのです。

シニア期に多い病気

歯周疾患

症状:口臭、歯石、歯垢など
治療:歯磨き、歯科処置

僧帽弁閉鎖不全症

原因

心臓の左心房と左心室の間にある弁が変性により肥厚したり、あるいは、弁を繋ぎ止めている腱索が断裂して、弁が閉じにくくなり、血液の逆流を生じます。循環血液量を確保するために心拍数を増加させたり、血圧が上昇し、肺に血液が溜まってしまうと心不全にいたります。

症状

散歩の距離が短くなるなどの疲れやすいといった症状、咳、呼吸困難などの症状が見られます。
また、検診で心雑音が聴取される事があります。

治療

心臓に負担がかからないように、血圧を調整するお薬や利尿薬で治療します。

慢性腎不全

原因

腎臓の機能障害により体内の老廃物の排泄がうまくいかず、水分・電解質バランスの調節に異常が生じます。

治療

まず一番初めに現れる症状は多飲多尿です。お水を飲む量が段々に増えて、尿が薄くなります。排尿の回数が増えたりします。進行すると体重が減ったり食欲が低下します。また、他の原因で体調が悪くなったときに脱水を生じやすくなるので、その時に見つかる場合もあります。
尿検査と血液検査で早期発見が可能です。

症状

腎機能の悪化には蛋白尿や血圧が重要であるため、そういった悪化要因がないか調べます。
機能を失った腎臓を元に戻すことはできないため、その機能を補うための投薬や食事療法、点滴療法をします。

白内障・核硬化症

症状

目の中の水晶体と呼ばれる部分が白く濁ってきます。
白内障は徐々に進行し、段々に見づらくなってきたりしますが、加齢性変化である核硬化症は視覚に影響はないと言われています。

治療

白内障が比較的若いうちに進行し、失明してしまう場合は専門病院で白内障手術を受けます。
今のところ、点眼による有効な治療はありません。
また、白内障から合併症を起こす場合もありますので、定期的に診察を受けましょう。

甲状腺機能低下症

症状

犬に多く見られる疾患です。歳を取って、なんとなく覇気がないなぁと言うときは、加齢の影響もあるかもしれませんが、甲状腺ホルモンが少し足りないのかもしれません。典型例では、中・高齢以降のワンちゃんで、見た目でこの病気を疑う事が出来るほど姿に現れます。すなわち、覇気がない、太りやすい、寸胴体型、尻尾や鼻梁の毛が薄くなり皮膚が黒ずんできます。血液検査で、高脂血症などの特徴的な異常が現れます。

治療

不足している甲状腺ホルモンを補充

甲状腺機能亢進症

症状

高齢のネコちゃんに多くみられます。歳のわりに、よく食べるのに痩せてくる、よく動く、鳴く、目がギラギラしているなどの症状が見られます。一見健康そうに見えますが、甲状腺ホルモンが多く出ている影響で、心悸亢進により心筋症を引き起こしたり、高血圧による腎不全や眼底出血などを引き起こしたり生命を脅かすこともあります。

治療

甲状腺ホルモン抑制製剤、合併症に対する治療

腫瘍

腫瘍は、あらゆる所に発生し、良性と悪性のものがあります。小さいうちや良性腫瘍ではほとんど痛みなどの症状はありません。腫瘍がだんだんに成長すると、その臓器の障害を引き起こし、炎症を引き起こしたり、自壊と言ってその名の通り中心部から崩壊すると出血などを来たし、症状が現れます。悪性腫瘍の場合、症状が現れた時には治療が困難であることもしばしばあります。
特に内臓に発生する腫瘍は見ることができず、気づきにくいため、健康診断での早期発見が重要となります。

免疫力の低下

加齢と共に免疫力の低下や免疫の異常により疾患を引き起こすことが多くなります。
例えば、下痢をしやすくなったり、ストレス不耐性、歯周病の進行や膵炎など様々な疾患が発生します。
また、病気が治りにくいということもあります。
シニアになったら、常日頃から、健康状態をよく観察して、ストレスの少ない、環境変化が少ない生活を心がけてあげると良いでしょう。

認知機能障害

犬もボケます。
特に10歳を超えると性格に変化が見られることも多くあります。15歳以上になると、いわゆる人の認知症と同様の症状が見られることがあります。例えば、排泄を間違えたり、徘徊したり、狭いところに入り込んで出られなくなり、困って泣き続けたりすることがあります。
日中の寝る時間が増え、夜鳴きするようになるとだいぶ進行した状態です。
特に夜鳴きはご家族が疲れてしまうことも少なくありません。できるだけ進行しないように予防してあげることが肝要です。

変形性関節症・変形性脊椎症

これも高齢期に多く見られます。関節の動きが制限されたり、痛みを生ずるようになりますので、歩幅が狭くなり、歩き方がロボットのようになったり、腰が曲がって、頭を上に持ち上げにくいなどの見た目の変化が現れます。痛いとあまり動きたくないので、お散歩の距離が短くなったり、筋肉量が減るため、腰骨が浮いているようになったり肢が痩せてきたりします。
老化現象の一つと捉えて良いですが、その他の疾患も考えられますので、気になりましたら、必ず診察しましょう。そして、痛みの持続は動物も辛いので適宜痛み止めを使ってあげたり、関節サプリメントや抗炎症作用や抗酸化作用のあるサプリメントを使うのも良いでしょう。

健康管理に欠かせない定期的な健康診断

慢性疾患の早期発見には健康診断は欠かせません。
飼い主さまが普通だと思っていることや年のせいにしていることが、もしかしたら疾患の兆候であることがあります。
神奈川県では40歳以上になると毎年健康診断のお知らせが届きます。動物は6.5歳が人の40歳にあたります。
健康に自信があるワンちゃんネコちゃんは、5歳までに1回、7歳以降は毎年健康診断でオプション検査をお勧めします。

定期的な健康診断で、見つけにくい病気を早期に発見

人間の何倍ものスピードで歳をとっていく動物たち。いつまでも元気でいて欲しい…
そのためには健康維持と病気の早期発見が大切です。病気の早期発見には定期的なペットドック(健康診断)がおすすめです。

健康診断でのお願い

  • ペットドックは予約制となります。事前にお問合せをお願いします。
  • 健康診断時には人間と同じく12時間前からの絶食をお願いします。検査当日は朝ごはんを抜いてきてください。
  • 項目によっては再検査を行う場合がございます。

健康診断の最重要ポイント「問診・身体検査」

定期的に診察を受けることでこの健康診断に最も大切なこの二つのポイントを押さえる事ができます!
フィラリアのお薬をもらいに行く時、ワクチン接種の時など私は常に心掛けて動物を観察・診察しています。

問診

元気や食欲、尿や便の様子、ふだんの生活について色々なことをお尋ねします。
飼い主様がふつうと思っていることが病気の初期症状であったり、疾患の早期発見につながることもあります。

身体検査

頭のてっぺんからつま先まで細かく診察します。
視診、聴診、触診、においなど五感を駆使して詳しく診察します。

大切なオプション検査

基本的なオプション検査は「血液検査・尿検査・レントゲン検査・超音波検査」となります。
以上の検査で異常が認められた場合、超音波検査などの追加検査を行います。

血液生化学検査

まだ症状に現れない異常や慢性疾患などを早期に発見するために行います。人と同じように毎年の検診が大事です。

一般的な内臓の検査
  • 血糖値
  • コレステロール
  • 中性脂肪値など代謝に関係する項目
  • 腎臓に関する項目
  • 肝臓に関する項目
  • 膵臓に関する項目
  • 電解質(イオン)バランス

これらを調べることで、内臓の疾患がわかったり、ふだんの食餌などを適切なものを選んでいくことができます。
また、腎臓病の早期発見につながる項目や、身体検査でホルモン異常の疾患が疑われる場合は特殊検査をお勧めすることもあります。
9歳以上ではシニアプランでの血液検査を含む健診をおすすめしています。

血球計算(赤血球数・白血球数・血小板数・白血球分画など)

赤血球数・白血球数・白血球分画・血小板数を測定します。
貧血や感染症の有無、血液のガンなどがわかります。

尿検査
一般的な内臓の検査
  • 目に見えない血尿
  • 結晶
  • 細菌
  • タンパク質
  • 尿糖など

当院では自宅で採尿してご持参いただくことで検査が可能です。
その場合は、未使用の紙皿やラップ、ペットシーツの裏側などで尿を受けていただき、スポイトまたは清潔な容器にいれ、密封してお持ちください。地面にした尿や猫砂で固まった尿では検査ができません。また、いつしたかわからない尿での検査はできません。
もし、採尿した時間から病院に持っていくまでの時間が空いてしまう場合は、冷蔵保存で6時間以内(最大12時間)にお持ち下さい。
自宅での採尿が難しい場合は、病院で採尿致しますので、ご相談下さい。

レントゲン検査

通常見ることのできない内臓の大きさや形、配置の変化を調べます
心臓病、肺や気管・気管支の状態、腹腔内諸臓器の大きさや形の変化、腫瘍や結石の有無などがわかります。

超音波検査

レントゲン検査や血液検査、触診で異常がある場合には追加検査としてお勧めしています。
動的な状態で検査できること、臓器の内部構造がわかることなどの利点があります。
動かないように押さえて、少し時間をかけて検査しますので、場合によっては後日予約制で検査を行います。

健診キャンペーン

犬は3月〜6月、猫は9月〜12月(おすすめ時期)に行っています。
ワンちゃんはフィラリア検査とセットで料金がお得になります!
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お口の健診・おそうじと一緒に、併せてご利用ください!