症例紹介

犬の根尖周囲病巣(外歯瘻)

病気の紹介

目の下に空いた穴から、膿が出てきて、お薬を飲んで、ウミは出なくなりましたが、穴が塞がらないということで、来院されました。

歯が原因なのか、皮膚が原因なのかわかりませんが、今までの経過から、歯が疑わしい様です。

原因となる歯は奥歯であることが多いのですが、見た目は歯茎も歯もわりとキレイです。

手術前の単純レントゲン写真です。見た目はきれいですが、歯の根の周囲の透過性が増しています。

術前の血液検査や画像診断を行い、麻酔下で精査及び確定であれば、原因となっている歯を抜歯することになります。

麻酔下で歯科レントゲン写真を撮影したところ、第4前臼歯と呼ばれる上顎の一番大きな歯には3つの根っこがあり、そのうちの2本の周囲が明らかに吸収(骨質が薄くなっている)されています。したがって、この歯は、穴(瘻孔)の原因と診断し、抜歯しました。

その2週間後の再診の時には、穴は塞がっていました。治療終了です。

治療法の紹介

<根尖周囲病巣とは?>

根尖周囲病巣とは、根尖(歯の根っこの先端部分)周囲に限局してみられる病巣で、根千性歯周炎の症状です。

原因には、破折(歯が折れる)ことによる露髄(歯のいわゆる神経が見えている状態)からの感染、重度の歯周病からの感染による歯髄壊死などがあります。

また、奇形歯(短頭種には多くみられる)では、構造上の不完全や形の異常から、歯髄への感染や辺縁性歯周炎が進行しやすいことがあり、歯内歯周両面からの感染を起こしやすいとも言われています。

今回のような根尖周囲の病巣からの排膿、排液のために交通路ができたものは外歯瘻と呼ばれます。

この場合、原因となっている歯を抜歯することで、感染巣がなくなり治癒します。同時に原因となっている細菌を特定し、薬剤感受性試験も同時に実施することで、使用する抗生剤を決定します。

抜歯した部位は、感染がなくなることで、いずれ骨も再生します。