症例紹介

誤食 つまるもの編

病気の紹介

<写真>ヒモを誤食:飼い主が帰宅したら、リボンが20cmほどなくなっている事に気づき来院しました。

いつ食べたかわからないとのことでしたが、数時間以内とのことでしたので、吐かせる処置をした

ところ吐き出しました。この異物、腸へ流れてしまうとおそらく閉塞しますので、無事出せてよか

ったです。

誤食とは、食べてはいけないものを間違えて食べてしまうことを言います

大雑把に分けると、消化管を詰まらせてしまうものと、中毒を起こすものがあります

1.消化管閉塞を起こすもの

基本的には、硬いもの、紐状のもの、消化できないものになります

例えば、石や大量の砂→お散歩中に拾い食いしてしまった、お庭などで気がついたら舐めまくっていた

ボールなどおもちゃ→遊んでいたら間違えて飲み込んでしまった。

鳥の骨、ボタン、コイン、ボールペンの中身などなど→意外と慌てて取り上げようとして丸飲みしてしまったということが多くあります。とても聞き分けの良い子でも慌てて飲み込んでしまうこともありますので、まずは飼主様が落ち着くこと、普段からマテ、オスワリなどのコマンドをしっかり教えておくこと、物物交換用に特別なおやつなどを用意しておくとよいでしょう。

柔らかいものでも閉塞を起こすものも多くあります。飼い主様の匂いのついているもの、靴下、パンツ、ストッキングなどの衣類、最近あったのは、冷えピタシート、鯛焼きの包み紙、魚のトレイの汁とりシート、ペットシーツ、使用済みナプキンなどなど。

食べ物に関連したものでは、果物や梅干しの種(2cmほどある大きなもの)、とうもろこしの芯など

これらのものは、食べて4時間以内なら胃内にあることが多く、催吐処置*1で吐かせることができます。

閉塞はしないが胃腸管を突き破って腹膜炎などを起こすものは、吐かせることも危険となります。例えば、鳥の骨の長いもの、竹串や針など先端が鋭利で長いものは吐く途中で食道などに引っかかってしまうと大惨事となることがありますので、基本的には内視鏡での摘出が安全です。

意外と危ないのが、犬用おやつ。乾燥したジャーキーは小型犬がよく噛まずに飲み込んでしまうと、喉で引っかかっていつまでも吐き出そうとしても出せなかったりすることがあります。体の大きさに見合わないお芋スティックやリンゴも丸飲みしてしまうと、食道に停滞して吐くこともできず、胃にも落ちず、ずっとえづき続けるような症状が見られます。犬が自分で噛み砕いて食べるタイプのおやつを与えるときには、必ず、落ち着いた状況下で与えること、安全に食べているかをよく観察することが大事です。

インターネットで、自宅でできる催吐処置として、オキシドールを飲ませる、食塩を飲ませるなどが書かれていたりしますが、吐かなかった場合には死亡してしまうこともあるので、そういった対処はしないでください。

猫ちゃんの誤食は犬に比べると少ないですが、時折遭遇します。中でも多いのが、紐状異物たまに針付き、ウレタンマット、まれに毛玉などなど。特にひもで遊ぶことが大好きな猫ちゃんは、遊んでいるうちに絡まってしまったり、取ろうと思ってベロベロやっていたら、どんどん飲み込んでしまったりすることがあります。紐の片方がどこかに絡まったり、あるいは何か飾りなどがついていると一端が固定されるため、異物が腸に進んだときに、アコーディオン状に折り畳まれてしまうこともあります。こうなると、手術適応となってしまいます。ウレタンマットもどういうわけか、かじって遊ぶのが好きな子がいます。周りが滑らないので、大きさが1cmほどでも閉塞してしまうことがしばしばあります。

 

 

治療法の紹介

催吐処置*1 吐かせる処置

当院での方法

誤食したかどうかわからない場合、いつ食べたかわからない場合はレントゲン検査や超音波検査を行います

現在、催吐剤と称される薬品はないため、その副作用としての吐き気を利用して催吐します

当院では、主にトラネキサム酸の静脈内注射を行います。

吐かなかった場合や、吐かせることに危険を伴う場合は、内視鏡のある病院を紹介したり、腸閉塞を起こしている場合には開腹手術となります。